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2016年06月

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アイボリの景色

濡れた石畳

雨の匂い

寂しさより

胸をふさいだ堰が

冷たくて

少し 泣いていたんだ


乾いたくちびる

小さな手のひら

おさない君

立ち止まって

胸を裂くような秘密

冷たさを

ふたり 分かちあったの


いずれ君の影は

伸びて縮んで

見えなくなって


水たまりを踊る枯れ葉

過ぎ去ったものたちのかけら

彩られた視界が

いつか泥で汚れても



アイボリの景色

それが 君とわたしの世界だった

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尺を満たして 出口に逃げ込む


出むかえる すらり黒ずくめ

おかえりなさい慈しみの地へ

ここでは たれにも邪魔はされませぬ

どうぞゆっくりとおくつろぎを


お菓子のおうちにご案内

ぼろの衣は脱ぎ捨てて

泥にまみれた肌を洗う

細った体に詰め込むは

古今東西の美味れい酒

羽毛のベッドに横になり.....


眠りに就いて

もう 夢は見ない

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どうせ忘れる命なら

悲しみと共に

奏でるワルツは9番で


ノクターンよりも堂々と

ファンタジアよりも軽やかに

バラードよりもいさぎよく

とわの別れをつげましょう



どうせ忘れぬ命なら

悲しみも捨てて

奏でるワルツは9番で


現実も明日も他人まかせ

過去も未来も音符にまぜ

胸の綿香に 頬をうずめて

はてぬ思いを吐露します




鍵盤のように つらなる無

去っては戻り とどまって

ときおり胸を 激しくえぐる

さよならみたいに 優しいロンド

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ゆ庭に戯むる

神祇(かみがみ)の

はづむ踵(かかと)の

しやなりと鳴つて


滴 落ちたる

池の満ち足る


夜を潤びらす

憂ひはすべて

いつか 水底(ほおつち)に吸ひ取られ

のこりたるは ただ

浄き 水明り

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かの土をにぎりしめ 睡る


きみを追つて ただよふ

泉下のぬるし海は 母のなかのやう

いかな境界も よるべき綱もない

(其がきみの さいはひかは 知らねども)……


追へども 追へども……

その背は

とほく とほく

うすれゆく


目寤めれば

土も

はかなく 失せて

だのに 夜さりには 亦 土を抱く


薤露(なみだ)の

尽きることはなく


ただ 会ひたいといふだけで


かの土をにぎりしめ 睡る

つつがなきごせをと ひとへに 願ふ

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