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かわい しろつめ

もぎとって

やさしく やさしく

あみこむの


かわい しろつめ

どこまでも

おぞうのように

のばしてく


かわい しろつめ

ましろなら

くろにも あかにも

きれいにそまる


かわい しろつめ

おくびをかざろ

おわらぬチクルス

うたいましょ


かわい しろつめ

ぽとぼとぼと、と

花冠がおちて

まあたのし


かわい しろつめ

あなたも わたしも

すてきにかざろ

いっしょにおどろ


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中也が死んで夏が去り、

秋がやぶれ、

チャコールの冬が顔をだす...


夏は破滅の季節だ


たとえば猛暑の日の苛辣なる日ざしのもとに置いた果実みたよな[それ]を、

われわれは求めてしまう


鼻をつく無数の死、

息がつまる無情のそれも、

夏がよく似合う


そうしてすべてらんえしたところで、

穏やかな秋がやってくる


秋、もうすべてが終わったのだと

まざまざとわれわれにそれを示す

"nothing"を掻き抱きながら、

われわれは、力なくその意味を問う

風は答えぬ

むなしさは、冬を(へ)誘うが、

それはまだ先の話。

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彼はたとへば

水彩の

にじみのやうなひとでした


いえそれよりは

結霜の

ガラスごしに見た 景色のやうな


いえそれよりは

鏡のなかへ

たまにまぎれこむ 影みたやうな……


彼は さういふひとでした




そよ風は 世界をまはるでせう

とき同じくして わが胸の

ちいさなくぼみには、赤銅の

まあるい玉が 落ちました

それは いつまでも 冷たくて

ときおり こつん、と鳴りながら

きつとこれからも ひつそりと

ここに 在りつづけるのです

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草花に宿る神々は、ひとりは黄色い時間を過ごし、

ひとりは青色の時間を駆ける

わたしはブーゲンビレア色の時にたたずんでいる

それらは並列し、まっすぐおなじ方向にのびながらひとつは過去へ、ひとつは未来に向かってそのもうひとつの過去の尻尾を食みながら、今ここ、つまり現在に停止している

神はいまここにある≒神はわたしと僕のつなぎめにある∴世界の包括、創造、万理

なぜと問い、すぐに答えが返ってきたなら、それは愚者でありピライである

進めば進むほど、初めのものの内へ戻る


コスモスとは断片で、しかし布のように延びたものであり、その繊維のなかに惑星があって、惑星とおなじ大きさでわたしたちがいる

過去がわたしたちをつないで、今この瞬間の巨大な宇宙ふろしきを広げているのである

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きみうつりたまふ

かがみいけ

伸べたる指の

すさまじかるは

その五臓すでに凍みぬゆゑやらん

かの日より

きみが負ひたる影と

わが恋ひ衣とが

むすばりて

引けど引けども

千切りをあへず

ことならば

食らひ合はまほしきか

ことならば

きみを追はまほしきか

ああ いつとなく胸痛しや

ああ いつとなく きみ恋しかりて

なほも立ち離れにくきものかな

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君とともに枯れ

腐れはててしまいたかった

しなだれた枝の先に

ほころぶつぼみすら 握り潰して

たれにも知られず


幽静なる川の

ほとりに

たたずんで泣く

たれにだってわからない

私にすら

(それなのに)

なぜ、と問う

問うほどに

わからない

もうなにも 残ってはいないのに

ぽかり、と

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「べつに肉感的である必要はないのよ」

 と彼女は言った。

「ただ生命力を感じられれば」

 彼女は首をふる。

「ううん、嘘。いやらしいくらいの記号的なものに惹かれちゃう。でも美くしいとは思わない」「骨は美くしいわ、なだからで」「でもそこに生命は感じないじゃない。ヴァニティ・オブ・ヴァニティーズよ」もの言いたげにするぼくを無視して、彼女は喃々(なんなん)とつづける。「頭で考えることと体が感じることは、違うわ」「あるいは理想と現実、ともいえる。いつだってそう。お菓子づくりも政治も、いっしょよ。そのせめぎあいよ」

 言い切って彼女は、もうずいぶんに冷めてしまった珈琲を一口、喫んで、

「でも、何うだっていいわね」「だって、好いことだモン。なんにしたってサ。揺さぶられるのはサ」

 ぼくはなぜか、“恋はいのちのエネルギィ”という言葉を思い出す。

 彼女は我が意を得たりというふうに、ウンウン頷く。

「でもね直ぐ新らしいのが必要になっちゃうンだ」「消費しちゃうから、……」「基本的にはネ」

 彼女はすっかり物倦じをしたようでいて、どこか名残りおしげに、つぶやく。意味もなく、カップのなかみをぐるぐると混ぜる。

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双子の弟が死んだから

その血と骨を

ネズの木の下にうめよう

マザーグースを歌おうか?

それとも ランボーでも朗読する?

黒く細い枝は とても長く伸びるでしょう

そして私の首に ゆるゆると巻きついて

どこへ逃げようとも ちぎれない

私はくるしみ だけど 痛いほどの

快楽に酔いながら 年を老る


(それが ともに生きるということ)

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雨が上がった 秘密の花園

散らしたすみれにくちづけを

岸辺でひとり 手まくらをして 恋を想う


”彼の好きな食べ物が知りたい”


ただやさしさだけ 夢見ているの

世界中 そうだったらいいの

君はおろかだと笑うかしら

でもいいの

それは君のいのちが

永遠につづくようにと

祈るのと同じこと


びんづめのレモン水に 落としたつけぶみ

オルゴールの針に 隠したこころ


もうすこしだけ読まないでいてね

あとすこしだけ気づかないでいてね


マホガニイのドアをノックするまで

あともうすこし 見えないままでいて



果実が熟してく匂いがする……

収獲の季節が ちかづいている


雨が上がった 秘密の花園

散らしたすみれにくちづけを

手まくらをして 恋を想う……

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アイボリの景色

濡れた石畳

雨の匂い

寂しさより

胸をふさいだ堰が

冷たくて

少し 泣いていたんだ


乾いたくちびる

小さな手のひら

おさない君

立ち止まって

胸を裂くような秘密

冷たさを

ふたり 分かちあったの


いずれ君の影は

伸びて縮んで

見えなくなって


水たまりを踊る枯れ葉

過ぎ去ったものたちのかけら

彩られた視界が

いつか泥で汚れても



アイボリの景色

それが 君とわたしの世界だった

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